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患者視点・プロセスでみた病院ホームページ

久しぶりに病院にかかる時はまず病院のホームページを見ている。担当の先生は何曜日に入っているか?駅からのアクセスは?予約の電話番号は?などを調べる。便利になったなと思う反面、必要な情報にたどり着くまでに結構あっちこっち回ることになったり、必要な情報がなかったりと、まだまだだったりする。

そこで、患者の視点、プロセスで病院ホームページを考えてみた。それぞれのプロセスごとに参考になるページを紹介する。(2005/8/29)

このページのポイント...
患者の方には病院ホームページの使い方・見方、病院関係者の方には患者視点のホームページ作りの参考になれば幸いです。

プロセス1:体調の変化の気づき

まず、体調の変化に気づく事から始まる。『なんだが寒気がする』『背中のあたりが刺すように痛い』などなど。

その際にどこの診療科に罹るのかを分かり易く教えてくれるのが埼玉医科大学病院のホームページである。

この『病気の気づき』というプロセスを入れているホームページはほとんどなかった。もっとも病院別の違いは基本的にないはずなのでどこかの機関が標準的なものを作っても良いと思う。

プロセス2:病院選び

罹りたい診療科はあるだろうか?当然のことながらどの病院も載せています。

自宅、会社からのアクセスはどうだろう?

地図だけでなく○×駅何番出口からこのルートで何分といった情報は助かる。ただでさえ病気で辛いのに道には迷いたくない。

道順を写真で紹介している東京大学医学部附属病院のホームページは非常に分かり易い。

治療技術は確かだろうか?これは議論になっているところだ。手術件数を出しているところがあるが、知りたいのは医師1人当たりの手術件数だと思う。死亡率に関しても状態の良い患者ばかり受け入れれば必然的に低くなる。死亡率に重症度を加味したものを全国平均と比較したものもある(日経新聞2005/8/28記事より)。

また、EBMに基づいた標準治療が行われているかどうかという情報は有用だと思う。客観的に高い効果が実証されているというのは安心できる。 きちんと話を聞いてくれるだろうか?納得のいく説明をしてくれるだろうか?そういった人間性も大切だ。楽患ねっとにて病院を選ぶとき何を規準に選びますかというアンケート調査をしたところ多くの方がこの点を挙げていた。

医療者のメッセージをアップしている病院HPがあるが、大体が専門性についてのみ語っている。趣味、最近注目していることなど人間性が見えるものもあって良いと思う。

プロセス3:病院へ行く

最近は混雑緩和のために予約制を導入してるところが多い。利用者のだれもが必要な情報なので予約の電話番号は目立つところに表示して欲しい。

予約の際に必要なのがお目当ての先生のスケジュール。

順天堂大学医学部附属順天堂医院の外来担当医表は、診療科ごとに午前・午後に分かれており、女性医師の名前は赤い文字になっているなど利用者が予め知りたいと思っていることをわかりやすく表示している。

通院ですめばよいのだが、入院する事もある。

ほとんどの方が入院経験などないであろうから一体なにをもっていったらよいのか悩むところだろう。

聖隷浜松病院のホームページでは、入院生活の様子も紹介している。

UCLA病院のHPに見舞い客向けの宿泊施設の案内を見かけた。

入院時に離れた実家の家族が尋ねる場合などを想定した案内であろう。このホテル、病院までの無料送迎さらに見舞い客の場合、ホテル税は免除されるとの事。うれしい配慮である。

その他いくつか挙げてみる。

平日の日中はどうしても外せない方も多いだろう。

そんな方には、九州労災病院の救急外来のようなページが役立つ。

外国人の方には英語、その他言語対応の情報は欲しい。

山王病院のホームページは英語に対応している。

料金も気になるだろう。

埼玉医科大学病院のホームページではカルテ開示の料金も提示している。

プロセス4:通院後のフォロー

静岡県立静岡がんセンターのホームページの左メニュー“よろず相談”では、よくある質問の紹介、さらに電話相談まで案内している。

予防医療への啓発の案内などが可能 (現時点(2005/8/29)は広告規制があり実現は困難)であり、患者にとって有用な情報を発信するチャネルとしてこのプロセスの重要度は今後高まると思う。

ここ数年で病院ホームページはぐっと有用になりました。そしてこれからもさらに良くなると思います。みなさんも活用してみてはいかがでしょう。 (2005/8/29 岩本貴)