1.いのちの授業って?
『いのちの授業』という言葉を聞いたことがありますか?
いのちの授業とは、病気や死を間近に感じた人々が、『生きるとはどういうことか』『死ぬとはどうい うことか』を伝えることです。
今までも日本全国で、この試みは少しずつ広がりをみせ始めています。
『いのち』について語る事の意味、それは、聞き手に生命を尊重する心、相手を思いやる心、そしていのちの大切さを思い起こすきっかけを作るためです。
最近は核家族となり、死を間近に感じる経験が少なくなっていることから、ゲームのような感覚で他人の命を奪う事件や、犯罪の低年齢化など、生と死について私達の社会が抱える問題は、悪化しているように思います。
また、リストラによる青年期や壮年期の自殺の増加や、高齢者の介護を家族のみで行うことへのひずみ からくるストレスなど、複雑な問題が増えてきています。そして、患者の気持ちが理解できず、コミュニケーションが出来ない医療者が増えることで、病院へのクレームの増加、そして医療事故の多発へとつながっています。
このような状況に流されず、相手を尊重し、自分のいのちも他人のいのちも大切だと、改めて思 えるきっかけ作りの場が必要とされています。
そこで私達は『生』や『死』にまつわる実体験を持った人たちが主体となって『いのち』について語っています。
例えば、患者体験をした人たちは、病気の告知やその治療体験、変わってしまった日常などを通して、命のはかなさやそれゆえの尊さ、有限性を実感しています。患者の家族もまた、自分の愛する人が苦しむさま、その命が尽きたときに残される自分の人生を考える中で、孤独と人との関わりの相互性について身にしみています。そして医療者は、生命を救うべく努 力する中で、どうしても避けられない死や、生きていてもなお辛い現実を知り、生命の神秘やその連続性に日夜直面しています。
このような、実体験としての 『いのち』を語ることが出来る人たちの言葉は、聞き手の心を揺さぶり、改めて自分ごととして『いのち』を考える素晴らしい機会になる事でしょう。
『いのちの授業』の主なテーマは次の通りです。
- いのちは誰のもの?
- 人生はリセットできない
- 仲間の支えあい、友達の大切さ
- 愛する人を失うということ
- 死を看取るということ
いのちの授業インデックス
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